haroshi

スケートボード。そのデッキの形は時代に応じていろいろと変化してきました。スケートボードが生まれた時はサーフボードの形をまねしてバナナのような形でした。僕が始めた80年中頃のデッキはノーズは短かかったけれど幅は広くて、テールの部分がはねあがった形状でした。当時の方が今よりいろいろな形をしたデッキがありました。そうして90年代に入ると、幅も細くなり、ノーズの部分が伸びテールと同じように跳ね上がった形になりました。スイッチスタンスやノーリー、ノーズスライドなどがやりやすい形です。スケーターのトリックが向上すると共にデッキの形状も変化していったのです。デッキのデザインとは逆に、ほとんど変化していないのが素材です。プライウッドといわれる薄い木を重ねて圧着した合板で作られています。デッキはテールとノーズの部分が跳ね上がったり、横方向にも板が反っていてよく見ると複雑なうねりをしています。その形を作るにはイームズがデザインしたチェアと同じ素材、プライウッドが最適なのです。テールを地面に強く当て、その反動を利用して空中に跳ね上がるオーリーというトリックをするにもこの素材は適しています。高いところから飛び降りたり、縁石やハンドレールをボードの腹の部分を使って滑ったりとスケートボードのデッキはとても荒い使われ方をします。激しくスケートする人だと数週間でデッキを交換。そうしてその使い古されたデッキはいったいどこへ?

前置きがとても長くなりましたが、そんな使い古されたデッキを使って作品を作っている作家、Harvestのヒロシくん。先日、haroshiという名義で作品展を開きました。スケートボードに使われているプライウッドはそれぞれ色がついていることが多く、その色や表面に印刷されたグラフィックの柄や模様を利用してさまざまなオブジェを作っています。見るたび、あまりの完成度の高さに「どうやって作ったの?」と同じ質問を彼に何度もしてしまいます。もちろんすべて手作り。デッキの上に貼られたグリップテープを剥がしヤスリをかけてそれぞれを接着剤で貼り合わせ、切ったり削ったりしながら作品を作るそう。僕たちは完成した作品をいきなり目にするので、作る過程がわからない。なので完成された作品を前に想像してみる。想像するだけで大変な作業だったに違いない。でも想像する大変具合がどの程度なのかわからない。ふう。そんなことを考えてみたり、彼の作品を楽しく眺めています。もうひとつヒロシくんの作品の魅力は使い込まれたデッキの痕跡を見ることができるところ。

誰かに使われ不要になったデッキがこうして新たに生まれ変わり、またちがったパースペクティブから楽しませてくれる。僕はストリートスケーティングやプールスケーティングに似ているように感じてしまいます。階段を登り降りするときに使うために使われた手すり、泳ぐために作られたプールを自分たちの独特な視線でアプローチする。スケーターだから生まれるヒロシくんの想像力と視線が彼の作品の魅力でもあります。

作品展が終わった翌日、僕が乗り古したデッキを何枚かヒロシくんに手渡しました。スケートブランドの好み、デッキに付いた傷を見てどんなトリックをしたのか、デッキテープの張り方などをうれしそうにチェックして大切そうに持って帰ってくれました。自分が使ったデッキがどのような作品になるのか、このデッキたちとの再会が楽しみです。

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